大杉山
概 要 大杉山は豊岡市日高町と香美町村岡区の境にある標高1007mの山です。 山頂からは山並みを眺めることが出来ます。 万場ゲレンデにある登山口から登るルートが一般的なようですが、今回は西側を通る妙見・蘇武林道からのショートコースを歩きます。 下山時には、北西にある銚子ヶ谷カキツバタ群落を訪ねていきます。
起 点 香美町村岡区 村岡地区
終 点 香美町村岡区 村岡地区
村岡地区…登山口…鞍部…小峰…大杉山…小峰…鞍部…銚子ヶ谷湿原…銚子ヶ谷入口…村岡地区
所要時間 1時間30分
歩いて... 今回のルートには明瞭な登山道はありませんが、下草は生えておらず藪漕ぎの必要もありませんでした。 林道から稜線に出るまでの斜面はかなり急で、枯れた笹竹や木の根などに掴まりながらの登りとなりました。 銚子ヶ谷カキツバタ群落の周囲には防護柵が設置されていて傍まで近寄れませんが、 遠くからカキツバタの花を眺めることができました。
関連メモ 蘇武岳, 大杉山, 銚子ヶ谷湿原, 大杉山
コース紹介
村岡地区
香美町村岡区を通る国道9号の高井交差点から県道259号を進んでいきます。 集落を抜けて谷筋に続く植林地に沿って登っていくと、橋が架かる所にがあります。 橋を渡って植林地を過ぎて雑木林に続くようになった道を曲がりながら登っていくと、 開けた斜面にがあります。 この時にはが2頭放牧されていて、草を食んだり水を飲んだりしていました。 牧場を過ぎて更に登っていくと、左右に通るに出ます。 右側には「基幹林道妙見・蘇武線」のがあり、 傍には起点からの距離を示す白い標柱「14.3」が立っています。 左折して白い標柱「17.1」が立つ所まで来ると、蘇武展望台や「蘇道」の記念碑が建つがあります。 左に広がる山並みを眺めていきました。
林道を更に進んで、倒れた「林道妙見・蘇武線 起点から20.0km」の緑の標識を過ぎると、 左への曲がり角の手前の路肩が広がって駐車スペースになっているので、ここに車を止めました。
森林基幹道妙見・蘇武線(全長24.7km)
この道は林道です。 林道は木材を運び出したり、森林を守り育てるために設置された道路です。 以下のことを承諾・厳守されたうえで利用願います。
一般道(公共交通に寄与することを目的とする国道等)に比べ次のことが異なります。
注意して走行して下さい。
・道幅が狭く、急カーブが多い
・未舗装で悪路が多い
・落石・倒木の危険が多い
・ガードレール・カーブミラーが少ない
・急勾配が多い
次の期間は通行しないで下さい。
・豪雨・強風 → 土砂崩れ・倒木の恐れがあります
・降雪・凍結時 → 除雪は行いません
・夜間・霧がかかった時 → 街灯はなく、見通しが悪いです。
次のことは行わないで下さい。
・暴走行為・通行の妨げにある行為
・林道施設・しゅうへんの自然を損傷・汚染する行為
・火気の取扱い
構造上、次の車両は通行できません。
・積載時重量制限 20トンを超える車両
・積載時制限長 12メートルを超える車両
走行速度は20km/h以下を心がけましょう。
ゴミ等の不法投棄は法律で罰せられます。 絶対に捨てないでください。
許可なく林道を占用することは禁止しています。
蘇道
妙見山、蘇武岳、三川山の連山は、昔から山を愛する人々に親しまれている。 但馬の壮大な四季折々の自然が眺望でき、豊かな森林の緑とのふれあいの場として、訪れる人々の希望と活力が蘇る道となろう。
妙見・蘇武線 三川線広域基幹林道期成同盟会
(村岡町長)野村宗一
題字 兵庫県知事 貝原俊民 書
妙見・蘇武線の概要
この広域基幹林道は、地域林業の振興と過疎地域の活性化並びに森林の多目的機能促進を図るため、 但馬の南北を結ぶ総延長24.8kmの林道です。
1 関係町 日高町、村岡町、八鹿町
2 利用区域面積 3,138ha
3 工事期間 着工 昭和38年度
完成 平成5年度 (昭和46年度より県営施工)
4 事業費 17億円
5 事業者 兵庫県
登山口
駐車スペースの先のに、僅かに水が流れる小さなコンクリート堰があります。 そこから上を覗いてみると、浅い谷筋の斜面のすぐ上にが見えます。 下草も茂っていなくて簡単に登れそうに思えたので、ここから尾根に登ることにします。
鞍部
堰の脇から上に出て、僅かな水の流れを過ぎてを登っていきます。 最初は傾斜がそれほどでもありませんが、登るにつれてになってきます。 枯れかけた笹竹なども少し生えているので、それらに掴まりながら登っていきます。 稜線が近づいてくると益々が増してきます。 踏み固められた斜面ではないので土が崩れやすく、木の根などに掴まりながら登っていきます。 林道からは登り易そうに見えましたが、今回のルート中で一番の難所です。 の袂でひと休みしながら登っていくと、 やっとのことで稜線にある鞍部に着きました。 距離は短いものの、登山口から8分ほどかかりました。
小峰
も歩けそうな様子ですが、 大杉山へ向かってを登っていきます。 植林地と雑木林を分けるを登っていきます。 傾斜はあるものの木などに掴まらなくても登れるので、先ほどの急斜面に比べると楽勝であります。 所々に設置されている赤頭短杭を辿りながら、正面のへ向かって登っていきます。 次第に傾斜が緩やかになってくると、尾根の肩のような小峰に着きます。 地形図によると、大杉山の北西100m辺りにある標高1000mほどの高みになるようです。 鞍部から5分ほどで登って来られました。
少し右へ曲がって、緩やかになったを進んでいきます。 明瞭な道は見掛けませんが、下草は生えていないので歩くのに支障はありません。 細い木が少し生えていて鬱陶しく思いながら進んでいくと、程なくして尾根の右肩にが現れます。 根元部分の樹皮が剥がれた樹木の辺りから、踏み跡は尾根のを横切るようになります。 大杉山へは尾根の背を登っていけば良いのですが、 尾根には引き続き細い木が生えていて煩わしそうに思えたので、このまま踏み跡を進んでいきました。 次第に不明瞭になってくるを辿りながら斜面を横切っていくと、 大杉山から南へ延びる尾根に出ました。 鞍部から10分ほどの所になります。 歩いてきた踏み跡は、不明瞭ながらも大杉山の巻き道のようでした。 右の尾根(*)は蘇武岳名色登山口へ続いていますが、 左に見えているへ向かって尾根を登っていきます。
*後日に右の尾根を歩きました。 (「蘇武岳」, 「大杉山」, 「大杉山」を参照)
大杉山 (標高1007m)
小峰からの尾根と違って、こちらのには細い木がほとんど茂っておいず、 傾斜があるものの歩き易くなっています。 息を弾ませながら4分ほど登っていくと、こぢんまりとした大杉山の山頂に着きます。 登山口から24分ほどで登って来られました。 山頂には「大杉山1007m」のが立っていて、地形図に載っている1007m峰になるようです。
巻き道を通らずに尾根の背を通って来ると、登山口から20分ほどで登って来られそうでした。
大杉山の北側が開けていてを眺めることができますが、手前の樹木が少し邪魔をしています。 山頂にはが立っていて、 右の尾根は「万場登山口」、今来た尾根は「蘇武岳」となっています。 右の尾根を少し降った所に、ロープ柵で囲まれたがあります。 「大杉山」の名前の由来になった木とのことです。 その傍からは山並みを見渡すことができます。
も良く見えます。 眼下にはも見えます。
後日に万場地区から大杉山へ登る道を歩きました。 (「大杉山」を参照)
小峰
大杉山からは元来た尾根を引き返しても良いのですが、 道標に示されていないへ延びる尾根を降っていきます。 尾根を緩やかに降っていくと、尾根のに僅かな踏み跡が現れます。 尾根の背には細い木が生えていて歩き難いので、その踏み跡を降っていきます。 根元部分の樹皮が剥がれた樹木の傍から、先ほど通ったに降りていきます。 尾根の左斜面に続く踏み跡を進んでいくと、程なくして細い木が生えるに出ます。 軽い登り坂になった尾根を進んでいくと、標高1000mほどの小峰に着きますが、何処がピークなのかは良く分かりません。 元来た鞍部を経て登山口へ降りても良いのですが、北西にある銚子ヶ谷カキツバタ群落を訪ねるべく、北へ続く尾根を降っていきます。
細い木が少し生えるを北へ降っていきます。 右側の樹間からが少し見える所を過ぎていきます。 次第に緩やかで広がった尾根になると、はっきりとはしませんが尾根がしています。 地形図に二点鎖線で載っているルートを辿るべく、 磁石で方角を確認しながら、斜めに生える樹木の左側の尾根を降っていきます。
鞍部
北西に向かっていることを磁石で確認しながらの尾根を降っていきます。 僅かに窪んだ広い道らしきものも見掛けますが明瞭ではありません。 には下草が生えておらず細い木も密生していないので、問題無く降っていけます。 傾斜が緩やかになると、左右に谷筋が続くのようになった鞍部に着きます。 大杉山から14分ほどの所になります。 も歩けそうな様子ですが、 細い木が生えるを降っていきます。
細い木が茂り気味のを緩やかに降っていきます。 中ほどは泥濘んでいるので、端を通ったりしながら進んでいきます。 細い木がなくなって植林地に入っていくと、左から谷筋がしてきます。 左の谷筋は見送って、正面の谷筋を降っていきます。 僅かに水が流れる歩き易くなったを進んでいきます。 谷筋が広がって湿原が現れると、防護網が設置された所に出ます。 鞍部から4分ほどの所になります。 標識類は見掛けませんが、防護網の先に広がっているのが銚子ヶ谷カキツバタ群落(*)があるになるようです。
*香美町のホームページに「銚子ヶ谷湿原カキツバタ群落」のパンフレットが掲載されています。
銚子ヶ谷湿原
防護網は湿原の周囲を取り巻くように設置されています。 防護網(*)に沿っても歩いていけるようですが、 今回は歩いていきます。 防護網で囲まれた湿原にはが咲いていました。 今年は例年よりも多く咲いたのだそうですが、花の盛りの時期は少し過ぎたようでした。 防護網があって傍まで近づくことは出来ませんが、持参したカメラの限界までズームアップしてを写しておきました。
*後日に左に続く防護網沿いを歩きました。(「銚子ヶ谷湿原」を参照)
銚子ヶ谷湿原カキツバタ群落
銚子ヶ谷湿原のカキツバタ群落は、国内でも有数規模のカキツバタ群落であり、 4,000年の歴史をもつことや、多様な湿原生植物が育成しているということで、 兵庫県の天然記念物に指定されています。 兵庫県のレッドデータブックでも、最も貴重性の高い群落(Aランク)に位置づけられています。 湿原にはカキツバタ、トキソウ、カキラン、ヒロハノドジョウツナギなどの湿原生植物や ヒラサナエ、ルリボシヤンマなどの湿原生動物が見られ、 湿原周辺の森林や水辺では、ヒメヘビイチゴなどの貴重な植物や ヒメハルゼミ、モリアオガエル、ヒダサンショウウオなどの動物を見ることができます。
加美町歴史文化遺産活性化実行委員会
僅かなもある所を、防護網に沿って進んでいきます。 左へ曲がりながら進んでいくと、湿原から水がに着きます。 跨ぐには幅が広くてどうしたものかと左右を覗っていると、 少し右へ進んだ所にがあって、 その上を通って向こう側に渡ることが出来ました。 防護網の傍まで戻って先へ進んでいくと、「湿原内は立入禁止です」のが2枚ありました。 貼り紙の間から防護網の中へと小径が続いていて、その先には青いテント張りがあります。 銚子ヶ谷湿原に出た所から10分ほどの所になります。 防護網に阻まれてテントまで行くことは出来ませんが、防護網に沿って傍まで行ってから引き返してきました。
湿原内は立入禁止です
湿原は傷つきやすく、とても繊細な自然環境です。 湿原に入って踏み荒らさないでください。 銚子ヶ谷湿原では食害防止、環境保全のため周囲に網を張っています。 網が破れる、支柱が倒れているなどの異常があった場合には下記までご連絡ください。
香美町教育委員会事務局生涯学習課
貼り紙の所まで引き返してきて、左のを進んでいきます。 すぐの所に落ちている「注意」のを過ぎていきます。 僅かな沢に渡されたの上を進んでいきます。 樹木の袂にある「自然の森」のを過ぎて木板の上を進んでいくと、沢に木橋が架かっています。
注意
湿地は、マムシの生息に適した場所です。 マムシは猛毒をもった蛇ですので、さわったり近づいたりしないで下さい。
自然の森
森は、私たちの命の水、酸素、食べ物を含め、からだと心の栄養すべてを生み出してくれます。 森は、野生の哺乳動物や鳥類にとって、またとない住家になっています。 自然の森と私たち人間がうまく共存するため、小さい生き物と仲よしになりましょう。
銚子ヶ谷入口
巻かれたロープが滑り止めになっているを渡っていきます。 沢が流れるV字谷の右側に続くを進んでいきます。 が増してくると、先の方が明るくなってきます。 細いを跨いでいくと、 「銚子ヶ谷カキツバタ群落」の標識が立つ妙見・蘇武林道の曲がり角に出ます。 銚子ヶ谷湿原を囲む防護網の所から5分ほど、鞍部から22分ほどで降りて来られました。
車を止めてきた駐車スペースに向かって左へ続く妙見・蘇武林道を進み始めると、 白い標柱「20.7」の傍に、車を2・3台止められるがあります。 白い標柱「20.6」や「20.5」を過ぎていくと、広くなった所に出ます。 銚子ヶ谷入口から4分ほどの所になります。 脇には「透水性舗装」の看板が落ちていました。 右にはコンクリート舗装されたが分かれていきますが、入口には木が置かれていました。 左の山際が広くなって、車数台分のになっています。
透水性舗装
尾根部は乾燥が特に激しいため、雨水を速やかに地中へ還元し、乾燥防止を図るため透水性舗装を設けてみました。
兵庫県
村岡地区
白い標柱「20.4」や「20.3」を確認しながら、軽い登り坂のを進んでいきます。 白い標柱「20.2」が立つを過ぎると降り坂になります。 白い標柱「20.1」の所まで来ると、樹間から僅かにが見えました。 最初に登っていったの前を道なりに右へ曲がっていくと、 車を止めておいた駐車スペースに着きます。 銚子ヶ谷入口から12分ほどで到着しました。