千々見山
概 要 千々見山は新温泉町にある標高262.9mの山です。 山頂には小さな展望台があって、諸寄から浜坂にかけての山並みや海岸線を見渡すことができます。 南側から広い登山道が続いていて容易に山頂に立つことができますが、 今回は北側から急な尾根を登って南の登山道を降るルートを歩きます。
起 点 新温泉町 諸寄駅
終 点 新温泉町 浜坂駅
諸寄駅…登山口…愛宕神社…鞍部…千々見山…鞍部…尾根の肩…千々見山登山口…浜坂多目的公園…浜坂駅
所要時間 2時間10分
歩いて... 千々見山の北側の尾根はかなりの急坂で、張られたロープに掴まりながら登る場面も多くありました。 少し霞んでいたものの、山頂からは諸寄から浜坂にかけての山並みなどを見渡せました。 南側の尾根には幅の広い登山道が設置されていて、横木の階段もあるものの、 北側の尾根に比べると格段に歩きやすくなっていました。
関連メモ 千々見山, 千々見山
コース紹介
諸寄駅
諸寄駅(JR山陰本線)から歩いていきます。
駅舎を出た正面には、「歴史と文化の街「浜坂」・北前船の寄港地「諸寄」」や、 「近畿自然歩道 浜坂文学めぐりのみち」などのがありますが、今回登る千々見山は載っていません。
歴史と文化の街「浜坂」・北前船の寄港地「諸寄」
浜坂・諸寄は浜辺の集落です。 古くから北前船の寄港地と商人の町として栄え、数多くの文化人を輩出しました。 城山園地に登ると波穏やかな諸寄港の光景から「北前船」の寄港地として、 諸寄砥石や各地からの産物が積み降ろしされた当時の光景が偲ばれます。
漁村の街並み】  日本海航路が盛んであったころ、旧諸寄港は日和山で西風をさえぎられる絶好の風待ち港でした。 付近には、港町の家並みが、当時の雰囲気を残しています。 町を見下ろす 高台の為世永神社(いよながじんじゃ)は海の神である塩土翁命(しおつちのおきなのみこと)が祀られており、 安全を願い寄進された絵馬などがあります。 境内の玉垣には「陸奥国」「越後国」「下野国」などの旧国名と寄進した船主の名が刻まれています。
城山園地(諸寄の眺望)】  芦屋坂から城山園地に向かう、つづら折りの道を登ると展望のよい城山園地に着きます。 ここから見る天然の良港諸寄港の朝夕の光が織りなす景観は絶景です。 春の桜、冬の雪景色など、四季が楽しめる場所です。 ここから矢城ヶ鼻にかけての近畿自然歩道には、歌人・岡垣徹治、登山家・加藤文太郎などの歌碑や顕彰碑があります。
 (山陰海岸ジオパーク推進協議会)
近畿自然歩道 浜坂文学めぐりのみち(浜坂駅〜諸寄駅)6.7km
近畿自然歩道は、私達の生活が近代化する中で、自然の残っている地域や名所・旧跡を帯状に結び、 身近に歴史や自然とふれあえるよう整備したものです。 コースには道しるべがありますので、それにしたがってお歩きください。
前田純孝(翠渓)歌碑】  「東の啄木、西の翠渓」と言われ、数多くの秀れた短歌を詠みました。 与謝野寛・晶子らと「明星」に精力的に作品を発表し、明治44年に31歳の短い生涯を閉じました。
篠原無然之碑】  諸寄で生まれた無然は年少の頃から釈迦や孔子の影響を強く受け、自ら聖人になるべく人格形成に没頭しましたが、 やがて、その修行の場所に「飛騨」を選び、工女の労働条件の改善や社会教育などに努めました。 その遺徳は、飛騨地方の精神文化開発の先覚者として「飛騨聖人」といわれ尊敬されています。
城山園地】  駐車場のある中腹の広場は、城山周辺散策の拠点として、絶好の展望場所です。 四季折々で姿を変える景色の中でも、日本海に沈みゆく真っ赤な夕日は感動的です。
タンゴイワガサ・ワカサハマギク】  城山園地から矢城ヶ鼻をまわって、浜坂港へ下るコース沿いに群生しています。 両種とも野生では、越前〜但馬周辺の日本海側でしか見られない植物です。 タンゴイワガサはバラ科で5月下旬頃、ワカサハマギクはキク科で11月上旬頃が見頃です。
登山口
案内板の裏手が明星保育園になっていますが、このときには広場などが工事中でした。 広場に入ったすぐ左側に、尾根へ続く階段があります。 今回はここから千々見山へ登っていきます。 階段を少し登った所から振り返っての様子を眺めてから、その先へと登っていきました。
災害に強い森づくり(里山防災林整備)〜県民緑税の活用〜 新温泉町諸寄地内
平成16年の台風災害を踏まえて、豊かな「緑」を次の世代へ引き継いでいくため、 県民共通の財産である「緑」の保全・再生を社会全体で支え、県民総参加で取り組む仕組みとして平成18年度から「県民緑税」を導入し、 防災面での機能強化を目的とした「災害に強い森づくり」を進めています。
【整備概要】  当地区は、集落(家屋)の裏山を中心にした森林整備として、主に人家や道路に危険を及ぼす倒木の伐採をしています。 その他にも人工林(スギ)や竹林の間伐も行っています。 また、簡易な防災施設(木柵等)の設置を行い、里山の防災機能を高めます。
 (平成25年度 兵庫県、新温泉町、兵庫みどり公社)
石段を登って右へ曲がる所まで来ると、突然、注意を促す若い男性の声がし始めました。 一瞬驚きましたが、に取り付けられた装置が人を感知して自動的に放送が流れる仕組みのようでした。 『この100mほど先に索道があるので頭上を注意するように』というような内容でした。 右・左と小刻みに折れ曲がりながら尾根を登っていきます。 道は明瞭ですが、少し窪んでいたり傾斜が結構ありました。
頭上注意
この先索道あり!!頭上注意
『100mとは言ってもなかなか着かないな』と感じながら尾根を登っていくと、正面にが見えてきました。 右に見えるの山並みや街並みなどを眺めながら近づいて袂に着くと、 尾根を越えていく2本のケーブルが通っていました。 先ほどの放送で言っていた索道のようですが、資材などを吊して運搬する設備でしょうか。 道は尾根に真っ直ぐ続いていますが、この時には左から迂回するルートが設けられていました。 黒色と黄色のトラロープが張られた迂回路を回り込んで鉄塔の上に出ると、 右側にはが見えました。 振り返ると、樹木や鉄塔に邪魔されながらも方面が眺められました。 海に突き出た半島の沖に浮かんでいるのは大振島でしょうか。
愛宕神社
鉄塔を過ぎて1分ほど登っていくと、緩やかで広い所に着きました。 登山口から14分ほどで登って来られました。 その奥の方にはが建っていました。 中を覗ってみると小社が納められていました。 名前を記したものは見かけませんでしたが、情報によると愛宕神社というようです。
鞍部
神社の右側を過ぎていくと、を降るようになります。 入口の樹木には赤テープが取り付けられていました。 何のためなのか、道に沿って赤と黒の電線のようなものが張られていました。 植林地はすぐに終わって雑木林になります。 正面にはが見えていましたが千々見山でしょうか。 緩やかに降っていくと鞍部に着きます。 左側が少し開けていて、が見えました。
鞍部を過ぎて、尾根を登り返していきます。 電線と入れ換わるようにして太めのが張られるようになります。 これまでの明瞭な道から一転して踏み跡程度になりますが、下草などは生えておらず、上を目指して登っていけば迷うことはありません。 ロープが張られたを登っていきますが、1分もせずにロープは終わりになります。 鞍部から4分ほど登っていくと、少し傾斜が緩んて歩きやすい尾根になります。
樹間から時折見えるを眺めながら尾根を登っていきます。 岩が目立つようになると、椿の木が見られるようになります。 次第に傾斜が増してくると、再びが張られた所を登るようになります。 ロープは1分ほどで一旦途切れますが、でまた現れます。 それもすぐに終わると、傾斜が緩んだ椿の回廊になります。 を咲かせている木もありました。
千々見山 (標高262.9m)
しばらく続くを登っていきます。 岩がむき出した急坂になると、が張られるようになります。 かなり傾斜があるので、ロープや木などに掴まりながら登っていきました。 トラロープが終わって少し歩きやすくなったを登っていきます。 次第に傾斜が緩んで草などが茂るようになると、先の方にが見えてきます。 そこへ向かって真っ直ぐ登っていくと、小広くなった千々見山の山頂に着きました。 愛宕神社から26分ほどで登って来られました。
登り着いた出口には「愛宕さん・諸寄駅へ」と書かれたが立っていました。 向こう側を向いて立っていたので、今回登ってきたルートを示しているものと思われます。 小振りの展望台の傍に生える大木には、「千々見山 標高262.9m」のが取り付けられていました。 南側に続く広い道の一番高そうな所から右へ入っていくと、岩の傍にがあるので、 地形図に載っている262.9m峰になるようです。
壊れかけた階段を注意しながらへ登っていくと、 左側には、 正面には、 右側にはの山並みや海岸線が広がっていました。 何枚も写真を撮りながら、しばらく眺めを楽しんでいきました。
眺めを堪能したところで、千々見山から下山していきます。 登ってきた尾根を引き返すのは面白くないので、 標識が取り付けられた大木の脇から南へ続くから下山していきました。 僅かに登って降り始めると、幅の広い横木の階段が現れます。 正面の樹間からが見えますが、方角からすると、三成山の北側にある499m峰でしょうか。 3分ほどで階段が終わると、緩やかな尾根を降るようになります。
後日に、山頂から北東の宇都野神社へ降る道を歩きました。 (「千々見山」, 「千々見山」を参照)
鞍部
歩きやすい降り基調のを進んでいきます。 引き続き見えているを眺めながら進んでいきます。 少し降り傾斜が増してきた道を降っていくと、僅かな鞍部に着きます。 山頂から9分ほど降った標高200mほどの所になります。 左側が開けていて、浜坂方面を眺めることが出来ました。 少し進んでいくとも見えてきました。
鞍部の先に現れる幅の広い横木の階段を登っていきます。 1分ほど登って僅かなに着くと階段は終わります。 その先へ降って僅かな鞍部から登り返していくと、再びが現れます。 その階段も1分ほどで終わって僅かな高みになります。 その先へ少し降って僅かな高みを越えた先でを登っていきます。 これらの高みのいずれかが地形図に載っている230m峰になるのでしょうが、 僅かな起伏が続くばかりで、どれがそうなのかは分かりませんでした。
尾根の肩
少し左へ曲がりながら進んでいくと、幅の広いを降るようになります。 先程来の尖った山を正面に眺めながら降っていきます。 その奥の方に少し頭を出しているのは三成山でしょうか。 1分ほどで階段が終わってを進んでいくと、少し開けた所に出ます。 山頂から18分ほど降った所になります。 地形図では、標高200mほどの細長く続く尾根の肩になるようです。 ここで道は右へ直角に曲がって、を降っていきます。
千々見山登山口
1分ほどで階段が終わって、正面に三成山方面を眺めながら降っていきます。 程なくして現れる急なを3分ほど降っていくと道路に降り立ちます。 山頂から24分ほどで降りて来られました。 降り立った脇には「千々見山登山口」のが立っていました。 振り返ってみると、降り立った所はのようになっていました。 左側では大規模なが行われていましたが、 出されている看板によると「下タ山公園(仮称)整備工事」となっていたので、そのうちに公園(*)が出来るようです。 ここからは諸寄駅浜坂駅のいずれにも出られますが、今回は浜坂駅へ向かうことにしました。
*後日に来てみると、東屋が二つ建つ公園が出来ていましたが、名前などを記した標識類は見かけませんでした。
後日に諸寄駅への道を歩きました。(「千々見山」を参照)
自動車も楽に通れるをひたすら歩いていきます。 右から左へ大きく曲がりながら降っていくと、「災害に強い森づくり」のがあります。 それによると、今歩いている道は林道浜坂諸寄線というようです。 看板を過ぎた所で道がに分かれていますが、その少し先でします。 そのが広くなっていて、奥の谷筋にはダムのようなものがありました。
災害に強い森づくり(緊急防災林整備)〜県民緑税の活用〜
平成16年の台風災害を踏まえて、豊かな「緑」を次の世代へ引き継いでいくため、 県民共通の財産である「緑」の保全・再生を社会全体で支え、県民総参加で取り組む仕組みとして平成18年度から「県民緑税」を導入し、 防災面での機能強化を目的とした「災害に強い森づくり」を早期・確実に進めていきます。
【整備内容と効果】  急傾斜地などのスギ・ヒノキ林を対象に、表面土砂の流出を防ぎ、林内の植生を早期に回復させるため、 現場の間伐木を利用した土留工の設置などの森林整備を進めています。 また、植生の回復状況や林内に土砂受け箱を設置して表面土砂の移動量を定期的に調査しています。
 (新温泉町)
道端にある「林道浜坂諸寄線」の標柱を過ぎてを渡っていくと、 道端に再び「林道浜坂諸寄線」の標柱がありました。 先ほどのは「平成8年度」で、ここのは「平成7年度」となっていたので、年度毎に少しずつ造っていったようです。 標柱を過ぎると、道端に墓石が沢山置いてありました。 まだ正常なものと壊されたものが分けて置かれているようでしたが、廃棄されたものでしょうか。
林道浜坂諸寄線
施行主体 浜坂町 延長270米 復員4.0米
平成7年度アクセス林道開設事業
を流れ落ちる水音を聞きながら林道を進んでいくと、 少し開けた所に小屋が建っています。 その山際にはがあって、山から流れ出る水を管で引いてバケツに溜められていました。
浜坂多目的公園
二つ目のを渡り青い屋根の小屋を過ぎていくと、谷筋が広がってきます。 緩やかになった道を川沿いに進んでいくと、 「浜坂多目的公園 グラウンド・ゴルフ場」の看板が出る広場が川向こうに続いています。 千々見山登山口から22分ほどの所になります。 公園を過ぎた所から、右へ戻るようにしてが分かれています。 先ほどの「災害に強い森づくり」の看板によると、林道浜坂諸寄線はここまでで、 この先の道は林道下タ山線、右へ続く道は林道上ラ山線というようです。
民家が建ち並ぶようになった道を進んでいくとがあります。 左側には「浜坂中学校」の表札が付けられたがあり、 その先の小山へ向かっていく石段や坂道があります。 十字路を直進していくとに出ます。 角には「川下参道」のが立っていました。 陸橋の左前方にある浜坂踏切を渡っていきます。
浜坂駅
浜坂踏切を渡っていくと、正面には浜坂北小学校があります。 その前を右折して道なりに300mほど進んでいくと浜坂駅(JR山陰本線)に着きます。 千々見山登山口から40分ほどで到着しました。 駅の待合室には、山陰海岸ジオパークの各地の写真や新聞記事などが展示されていました。 駅前には「浜坂のまち総合案内MAP」がありますが、 今回登った千々見山は、「至 千々見山」として、先ほどの十字路の先に載っているだけでした。
山陰本線新世紀 山陰本線全通100年 鉄道唱歌(浜坂編)
居組は但馬の西玄関 駅舎は明治の木造舎 洞門 奇岩の海岸美 結川には メガネ橋
トンネル抜ければ諸寄よ 真白き浜に 一つ波 風待ち港は 今漁港 文人 賢人 多く出ず
転車台に六番線 旅館の旗振り客迎え 昔の賑わい 今いずこ 変らぬ暖簾の 浜坂駅
浜坂駅より発ち出し 勤勉努力を怠らず 孤高の登山家 単独行 その名は 加藤文太郎
車窓を走る 日本海 トンネルトンネルで刻まれる これぞ 世界のジオパーク 遊覧船は 浜坂港
給水塔を後にして 叔父橋 叔母橋 ラチス橋 久斗川鉄橋 メガネ橋 村里眼下や 久谷駅
艱難辛苦の敷設には 尊き命が捧げらる 感謝を込めし招魂碑 お礼の赤い レンガ塀
山陰本線浜坂駅 福鉄 米鉄 縁結び 物流 文化の橋渡し 歴史を刻んで 百年目
後藤新平の石額や 桃観隧道は難工事 機関士泣かせの急勾配 越し出ば白き 余部橋
 (平成22年10月)