大野山
概 要 大野山は新温泉町と香美町の境にある標高615.4m(点名:春来)の山です。 かつて南西麓で牧場が営まれていた山です。 南側から作業道が続いていますが、 今回は西側から尾根を登り、大野山の北側を通る作業道に出て、途中から山頂へ向います。 作業道を引き返して、途中から北側の尾根を降り、農道に出て春来峠へ降るルートを歩きます。
起 点 新温泉町 春来地区
終 点 新温泉町 春来地区
春来地区…登山口…作業道出合…大野山…下山口…農道出合…春来峠…春来神社…春来地区
所要時間 1時間50分
歩いて... 大野山の山頂は樹木が茂っていて眺めは良くありませんが、登る途中から少し山並みが見えます。 尾根に明瞭な道はありませんが、樹木は密生しておらず藪漕ぎの必要はありません。 登りルートでは途中から電気柵が設置された作業道が並行するようになります。 作業道の方が歩き易そうですが、土塁のような尾根を登っていきました。
関連メモ 大野山
コース紹介
春来地区
香美町を通る国道9号を北上していきます。 入江トンネルを抜けた所の和田交差点から県道561号に入り、但馬大仏への道を分けていきます。 途中で県道265号に入って登っていくとがあります。 脇に立つ「新温泉町春来」の標識に従って右の道を降っていきます。 椿山公園まで来ると広い空き地があるので、ここに車を止めさせて頂きました。
空き地の奥には「」と題した案内板がありますが、 今回登る大野山は載っていません。 傍には「春来溜まり水遺跡」の解説板もあります。
国道9号の春来トンネルの手前にある柤岡口バス停から分かれる道を登って柤大池公園を経ても来られます。
椿山どんぐりの森案内図
この森はかつて薪や炭の生産が行われ、里山林として人々に親しまれており、 コナラ林や竹林、植林されたスギ・ヒノキの人工林があります。 日本の昔ながらの豊かな植物や動物を残す里山林は、各地で少なくなってきており、 この森では適切に維持・管理していきます。 春には、ヤマツツジ、ユキグニミツバツツジ、オオイワカガミなどの花が美しく、 その他にも様々な植物が観察できます。
たき火、たばこの吸い殻やゴミの投げ捨てに注意し、植物や動物を大切にしましょう。
【”ひょうごゆたかな森づくり構想”に基づく里山整備事業】
この区域は、地域のみなさんのご協力のもと、景観や多様な動植物を保全し、保健や森林学習の場とするため、 県内の林地を開発した方々の協力金により、森林の整備や歩道の開設などを行いました。
兵庫県・温泉町・(社)兵庫県森林と緑の公社
春来溜まり水遺跡
昔より縄文土器が出土したと言われている通称『溜まり水』から縄文初期〜中期(約5〜6000年前)の土器1点と 縄文晩期〜弥生初頭(約2300〜3000年前)土器1点と石器1点が試掘調査の結果、出土しました。 また同時に3つの遺構が検出され、そのうち深さ約1mの落とし穴も見つかりました。 縄文時代の生活は狩猟を種に木の実・草の根を食べながら生活していたため、 ウサギや猪など動物を捕獲する仕掛けか、貯蔵庫がわり使用していた穴であったと考えられます。 町内の縄文時代の遺跡は三原高原縄文遺跡をはじめ、 春来地区でも春来山田遺跡など同じような標高や場所から同じような土器や遺構が出ているところからも、 縄文人はこの高原地帯で狩りをしながら集団で生活したのでしょう。
春来区 温泉町 温泉町教育委委員会
登山口
車でを引き返していきます。 椿山公園への道を分けていくと、右側にが広がってきます。 左へ曲がりながら登っていくと、「新温泉町春来」の標識が立つに出ます。 正面に立つ建設省の電波塔「春来無線中継所」の前を左折していくと、NTTドコモの「柤岡(兵庫)」があります。 少し進んだ所にあるJ-PHONEの「湯谷局」を過ぎていきます。 電波塔のすぐ先に送電線の巡視路の入口があります。 ここが今回の登山口になります。 駐車地から9分ほどの所になります。 入口には退色した「火の用心」の標識があって「No38」と書き込まれています。
両側に熊笹が茂るを登っていきます。 思いのほか傾斜が急な所を登っていくと、が立っています。 銘板を探しても見つけられませんでしたが「温泉小代線三八」のようです。 傾斜が緩やかになった所から振り返るとが見えます。 「温泉小代線三七」と思われる次の二本組の電柱の先にも山並みが広がります。 手前の電柱まで引き返すと、東側にがあるので、ここから尾根を登っていきます。
数段の横木の階段が終ると、左の尾根の上にが見えてきます。 斜面をひと登りすると、すぐに年季の入ったに着きます。 右へ曲がって、を登っていきます。 雑木が茂り気味ですが藪漕ぎするほどではなく、傾斜も緩やかで歩き難くはありません。 程なくして少し盛り上がったのようになります。 右側には幅1mほどの溝が並行するようになりますが歩き難そうなので、このまま土塁のような所を登っていきます。 傾斜が増してくる尾根を登っていくと、溝が分岐している所に出ます。 登山口から7分ほどの所になります。 前方から来て右へ曲がっていく溝に並行するように、が続いています。 作業道の方が歩き易いのですが以前に歩いているので、このまま正面の土塁を登っていくことにします。
情報によると、大野山の南西麓はかつて牧場が営まれていたようで、 土塁・溝・電気柵はその外周に設けられていた仕切りのように思えます。
右へ降っていく作業道は「大野山」を参照。
緩やかな所もあるの上を登っていきます。 傾斜が緩やかになると、を見かけなくなります。 僅かに降る所を過ぎて、右側に並行する作業道を気にしながらもの上を登っていきます。 が少し見える所を過ぎていきます。 「境界明確化」の短杭が点々と続く土塁の上を更に登っていきます。
作業道出合
次第に広がってくるを登っていきます。 傾斜が緩やかになると、あまりピーク感のない標高600mほどのに着きます。 小峰を過ぎると軽いになります。 傾斜が緩やかになると、尾根の北側に続く作業道の曲がり角に出ます。 登山口から20分ほどの所になります。 このまま尾根を歩いても良いのですが、作業道が気になるので歩いていくことにします。
左へ曲がりながら続く作業道を軽く登っていくと、を右へ回り込んでいきます。 緩やかになった作業道を進んでいくと、の傍を左へ回り込んでいきます。 また、を右へ回り込んでいきます。 再びの傍に出ます。 作業道は左へ回り込んだ先へ更に続いていますが、 正面に見える高みが大野山のように思えるので、段差の低い曲がり角から植林地の斜面を登っていきます。
大野山 (標高615.4m)
の斜面に明瞭な道はありませんが、 傾斜は急ではなく落ち葉や枝などが少し積もる程度なので、歩くのは問題ありません。 程なくして傾斜がになってきます。 『何処かに三角点があるはずだが』と思って探しながら進んでいくと、 雑木林との境界になった大野山の山頂に着きます。 登山口から29分ほどで登って来られました。 周囲には樹木が茂っていて、残念ながら眺めは良くありません。 中ほどには四隅が欠けた上に割れた所の修理跡が見られる「春来」があるので、 地形図に載っている615.4m峰になるようです。 以前に来た時には脇の樹木に取り付けられていた「大野山 615.3」のは壊れて袂に落ちていました。
下山口
山頂の様子を確認したらを引き返していきます。 落ち葉や枝などに気を付けながら降っていくと、の曲がり角に出ます。 小尾根を2度回り込んでいくと、尾根から作業道に出たに戻ってきます。 作業道を降っていくと小尾根に出ます。 大野山から10分ほどの所になります。 (*)は小尾根を回り込んで更に続いていますが、 今回はここから北へ延びる右の尾根を降っていきます。
*この先へ続く作業道は、途中に何度か分岐がありますが、春来峠から駐車地へ続く車道の途中へ降りていけます。 (ルート図に緑色で表示)
尾根のには伐採木などが散乱しています。 伐採木を過ぎていくと、歩き易いになります。 尾根に明瞭な道はありませんが、樹木は密生しておらず藪漕ぎすることはありません。 降り傾斜が増し始める所まで来ると尾根が分岐しています。 下山口から2分ほどの所になります。 分岐していることが分り難くてを降ってしまいそうになりますが、 急なを降っていきます。
脇の樹木に手を掛けたりしながら降っていくと、次第にがはっきりしてきます。 しばらく降っていくとになります。 程なくしてになります。 両側に谷筋が続くを降っていきます。 樹間から僅かにが見えたりもしますが、尾根からの眺めは広がりません。 両側の谷筋が迫ってくると尾根の先端に出ます。 下山口から10分ほどの所になります。
この辺りから小雨が降ってきました。 デジカメのレンズが雨で濡れるので拭きながら写しますが、 この先には少しぼやけた写真もあって見苦しいのをご容赦願います。
左へ戻るように曲がって、へ降りていきます。 谷筋を横切ってに出ます。 右へ曲がってを降っていきます。 程なくして登り坂になると、標高490mほどの僅かな高みを越えていきます。 下山口から14分ほどの所になります。
農道出合
になる尾根を進んでいきます。 降り傾斜が増してくると、が巻かれた樹木があります。 ここで曲がって、植林地の斜面を降っていきます。 程なくして左右に通るの上に出ますが、段差が高くて降りていけません。 左へ曲がって、降りられそうな所を探しながら進んでいくと、 桃テープが巻かれた木の所の段差が低くなっているので、ここから農道に降りていきます。 下山口から18分ほどで降りて来られました。 振り返って、を確認していきます。
左へ続く緩やかなを進んでいきます。 程なくしてススキなどが茂って道が分り難くなりますが、少し右へ曲がりながら進んでいきます。 ススキが茂る所を抜けて歩き易くなると、正面にが現れます。 坂道の手前に分岐があって、右へ戻るようにして道が続いています。 は少し先の小屋の所で行き止りになっています。
坂道の手前にある分岐を右折して、のような所の下に続く道を進んでいきます。 突き当たりまで行くと、僅かな沢が流れるに出ます。 左へ曲がると、植林地の中にが現れます。 落ち葉が積もって分り難い所もありますが、簡易舗装された道です。 僅かなを跨いでいきます。 山際に続くようになる緩やかな道を進んでいきます。
程なくして、水田が広がるが右側に現れます。 右奥にはが見えます。 に続く道を更に進んでいきます。 少し左へ曲がって切通まで来ると、農道が分岐しています。 農道出合から7分ほどの所になります。 ここは切通を過ぎていくを進んでいきます。
春来峠
植林地の斜面に続く農道を進んで降り坂になると、曲がっていきます。 少し降った先を道なりに左へ曲がるとが見えてきます。 車道に向ってに降っていきます。 程なくして県道561号の一番高い所に降り立ちます。 標識類は見かけませんが、ここが春来峠になるようです。 農道出合から12分ほど、大野山から40分ほどで降りて来られました。 振り返って、を確認していきます。
左に続く県道561号を軽く降って緩やかになるとが見えてきます。 春来上バス停の手前にある分岐まで来ると左側にがあるのですが、 この時には水が抜かれて整備作業中でした。 天然記念物のホンコウホネが群生する池だったのですが、整備後には復活するのでしょうか。 左の道に入って、そば処「」を過ぎていきます。 すぐの所にあるを過ぎていきます。 車道を登っていくと、右下に旧春来小学校があります。
以前に春来「てっぺん」で見かけた案内板の内容を参考までに載せておきます。
春来
春来神社の森に椿の井戸という名泉があり、付近の椿原一帯を切り開いて村を作ったので、椿村とも呼ばれ、椿の字を2字にした春木とした。 冬になると2メートルから3メートルの雪が積り厳しい冬を耐えて、春が来るのを待ち焦がれた村人達の切なる思いから春来になったと言われる。 古代より山陰街道として京から因幡や出雲に向う人々は必ず越さねばならない峠で、 「牛の背に 我も乗せずや 草刈り女 春来三里は あふ人もなし」と詠われている名高い春来峠も冬の厳しさはもちろん旅人泣かせの峠であった。 地区に中には、旅人の馬を休ませる馬場という地名もある。 国道9号線が集落の中を東西に走っていたが、昭和50年に春来トンネルが完成して路線変更された。 この自然や歴史の通り春来峠は、春夏秋冬に富んだ里である。
春来神社
水利施設を過ぎていくと左側に「五社大明神」の扁額が掲げられたがあるので、ちょいと立ち寄っていきます。 鳥居をくぐった左側には、「春来神社」と題した解説板があります。 石灯籠の先に続くを登っていきます。 石段を登って境内に出ると、正面の石段の上に、愛宕神社と山神神社を納めたがあります。 右側には「五社大明神」の扁額が掲げられた本殿と拝殿があります。 これが「五社大明神」とも呼ばれる春来神社のようです。 本殿の屋根には五本の鰹木が乗り外削ぎの千木が聳えています。
春来神社
春来神社は、延喜式神名帳に記載された神社(国幣小社)で、 山陰道の要所として栄えたこの地に鎮座した由緒ある神社とされている。
創 祀 白鳳6年4月2日(飛鳥時代46代神武天皇)
祭 神 天照皇太神・伊弉諾命・伊弉冉命・大巳貴命・少彦名命
社 号 春来神社
社 格 明治6年3月 村社格に列す
その他 春来神社は通称 五社大明神・龍頭明神・龍頭神五社。 八幡神社とも称される。 また祭神の由緒として50代天明天皇の和銅元年、行基菩薩が尊像をきざみ五社に祀ったのが、
一の宮 真御王・石條磐の鏡
二の宮 金剛四海の釼
三の宮 白光不思議の玉石
四の宮 地水火風雲切修理の宝
五の宮 満腹徳命の俵石
であり、以来五社大明神の尊号のもと庶民から崇拝された。
また境内には、拝殿左に
愛宕神社 祭神 珂遇鎚命 火の神
山神神社 祭神 大山祇命 山の神 が祀られている。
往復5分ほどで車道まで引き返して、曲がりながら登っていきます。 緩やかな道になると、左の平坦地にのような道があります。 少し降って緩やかになると、右側に田んぼが広がるが現れます。 登り坂になると、谷筋へ降りていくを分けていきます。 左から降ってくる作業道のような道を合わせていくと、右下の谷筋に溜め池が見えてきます。
白いガードレールが設置された所を過ぎていくと、が右へ戻るように分かれていきます。 すぐ先からは(*)が左へ戻るように分かれています。 カーブミラーが立つまで来ると、送電線の巡視路が右へ分かれていきます。 には退色した「火の用心」の標識が立っていて、「No36」と書き込まれています。 先の方には「温泉小代線三六」の二本組みの電柱が立っていますが見送っていきます。 左へ曲がった所から右前方へ降る地道が分かれていますが、 入口には「これより先私有地につき進入禁止」の札が立っています。
*今回の下山口から作業道を降ってくると、ここに出られます。 (ルート図に緑色で表示)
春来地区
白いガードレールが設置された車道を右へ曲がりながら登っていくと、 送電線のが左の尾根に登っていきます。 入口には退色した「火の用心」の標識が立っていますが、番号は書き込まれていません。 白いガードレールが続くを登っていきます。 程なくして「そば処春来てっぺん」のが見えてきます。 幟旗まで来ると、車を止めておいた駐車地に着きます。 春来神社への立ち寄りも含めて、春来峠から30分ほどで到着しました。
来た時とは変えて、柤大池公園を経て国道9号の柤岡口バス停に出るルートで家路につきました。