シワガラの滝
概 要 シワガラの滝は新温泉町の海上地区の小又川渓谷にある滝です。 海上林道にある入口から谷へ降りた所から100mほど沢を遡上した所にある岩壁の洞窟の中にあって、外からは見え難くなっています。
起 点 新温泉町 海上地区
終 点 新温泉町 海上地区
海上地区…峠…突出地…シワガラの滝…突出地…峠…海上地区
所要時間 1時間20分
歩いて... 谷に降りるまでの道は明瞭ですが、鎖やロープが張られた急坂があるので注意が必要です。 遡上する沢には大きな岩がゴロゴロしていて明瞭な道はなく、 水の中を歩いたり岩の上を歩いたり崖を登ったりしながら遡上します。 滝の前では水が膝の下辺りまであるので、深い長靴か濡れても良い短靴などで出かけるのが良さそうです。
関連メモ 桂の滝
コース紹介
海上地区
国道9号線の蒲生トンネルの少し東側のおもしろ昆虫化石館がある千谷大橋交差点から県道262号を南下していきます。 から右へ戻るようにして分かれていく道に入っていきます。 手前には「上山高原へはここを右折です」の標識が出ていて、裏面には「上山高原9km・芝桜公園6km」となっています。 海上地区の集落に入ってまで来ると、西山農道や小又川渓谷への道を右に分けていきます。 集落を過ぎて海上林道を登っていきます。 芝桜公園布滝尾の谷滝の入口を過ぎていくとが広がってきて、 眼下に芝桜公園いっぷく亭や田んぼなどが見えます。 海上林道を更に登っていくとシワガラの滝桂の滝の入口があります。 手前に車数台分の細長い駐車スペースがあるので、ここに車を止めました。
駐車スペースは幅が狭くて奥に細長い形なので、その中で車を方向転換させるのが難しくなっています。 勝手な所に止めると奥に止めた車が出られなくなる恐れがありますが、ロープで区分けされた所にキチンと駐車すれば大丈夫です。
後日に来てみると、今回の駐車スペースの少し先にしっかりとした駐車場が出来ていました。
海上(うみがみ)UMiGAMi
山の中ですが「海の上」と書いて”うみがみ”と呼びます。 二方民談記によると『 往古は池内村と云しことは土人語りつたふ、 昔時、牛ヶ峰山ぬけして谷へ打ち込み水を関留めし故、この所一面の泥海となる。 是故に悪蛇の栖となり人民をなやますこと久し、 時に牛ヶ峰中興長慶正僧是を退治させ給ひ残る悪つかつとも此れの院を崩し七日七夜振動して 終りに嘉元年戌辰閏六月十日卯の刻に天地振動して大海に出づ。 依って是の日を以って枯れの蛇神を祭ると云う 』とあります。 確かに地形的に見て、牛ヶ峰山に山崩れを物語る「蛇抜け」があり、 その下部の石と同種の石が海上地域に堆積していることから小又川をせき止めたと考えられます。 地名にも小嶋、湊、池成、津江田、高田、浮田、上山など海や池に因んだものが多く、 また、木の葉は勿論のこと 500万年昔のチビクワガタやセミ、スズメバチ、アリ、アブ、カゲロウ、カエル、サワガニなど沢山の昆虫化石が発掘されています。 このことは、昭和38年8月13日に女子高校生の自由研究で小又川より発掘されたことに端を発して 日本古生物学会・日本地学研究会会員の井上繁広氏により発掘されて「おもしろ昆虫化石館」で立証されています。 さらに、土中には根木という神代杉の大木が数多くあります。 しかし、村の発祥時期は明らかでない。 現在50戸あり約30haの棚田に清流シワガラの滝米・コシヒカリ・”うみゃーなぁー”と薬草豊富な野草と愛情飼育の但馬牛生産の農山村です。 標高340m〜370mの高地に位置し、夏は涼しく、冷たい水の味は格別です。
金烏山牛峰寺・蔵王大権現様  天台宗。 蔵王権現像は町指定有形文化財で山陰の三大のあらたかな大権現様。
児嶋神社と大銀杏  牛ヶ峰神社に次ぐ旧社。 児嶋権現として海上村の発展を守る。 八坂神社、天照皇大神宮も祀る大杉や椿の鎮守の森。 大イチョウ樹齢約300年は神秘的で壮観。
海上傘踊り  雨乞いの踊り。 フランスを始めシンガポール、台湾、中国海南省、広東省など遠征。 小学1年生より伝承。
小又川渓谷  県指定名勝地。 僧侶修行伝説の神秘的な洞くつ『シワガラの滝』のほかに魚止の滝、五滝、桂の滝、布滝、尾の谷滝など清流の渓谷。
芝桜公園  集落から約1.5km上山高原方面の丘。 国定公園の山並みパノラマが素晴らしい。 芝桜を基調にした多種の花園約1haを夢ふる里会が管理している。
降り口には案内板や標識が幾つか設置されています。 左側には「シワガラの滝・カツラの滝」のがあります。 傍には「小又川渓谷」のがあって、「シワガラの滝1200m」などとなっています。 右側には「上山高原エコミュージアム インフォメーション」と題したがあります。 シワガラの滝も載っていますが、道の詳細までは分かりません。
上山高原エコミュージアム インフォメーション
上山高原には、自然性の高いブナ林と人の営みの中で育まれてきたススキ草原があり、 イヌワシやツキノワグマ等貴重で多様な生態系が育まれてきました。 「上山高原エコミュージアム」は、扇ノ山山麓に広がる上山高原や、麓の集落などをフィールドとして、 自然環境の保全や、環境と共生した暮らしを学び実践する取り組みを、 地域住民をはじめ、多様な主体の参画と協働により進めています。
小又川渓谷  数々の急峻な断崖からなっており、兵庫県の名勝に指定されています。 その風貌は人々を寄せつけがたい厳しさを感じさせます。
シワガラの滝  女人禁制で修験者が修行したといわれ、洞窟の中に落下口があるので遠くからは滝があることはわかりません。 水しぶき飛ぶ洞窟の中から見る滝は夏でも寒いくらいです。
布滝  落差7m。 滝を横から眺めるとオーバーハングした岩壁から二条に分かれ落ちるユニークうな景観です。 名は布を開げたように見えることから、と言われます。
タジマタムラソウ  シソ科の多年草で、基準標本は温泉町の岸田で採取されました。 分布域はごく狭く、初夏に濃い紫色の花を咲かせます。
特定非営利活動法人 上山高原エコミュージアム・温泉町・兵庫県・環境省
高山植物等の保護について
  この付近は、氷ノ山・後山・那岐山国定公園特別地域です。 特に、高山植物等の採取は禁止区域です。 高山植物等の保護にご協力下さい。違法者は罰せられます。
兵庫県・温泉町
注意!!
小又川渓谷
・雨では突然増水となり、危険です。天候が良くないときなどは、早く帰りましょう!
・危険な箇所、落石、マムシ、ハチなど充分注意を!
・ツキノワグマの生息区域ですので、クマ鈴等の装備を!
・安全な服装、履物等でお願いします。
標識や案内板の先に続くを進んでいきます。 植林地に入って、の脇を過ぎていきます。 右下の谷筋にあるの水音を聞きながら進んでいきます。 植林地の谷筋に続くを進んでいきます。 沢との高低差がなくなると木板製の小橋が架かっています。 駐車スペースから2分ほどの所になります。
小橋を渡って、を進んでいきます。 道なりに右へ曲がって沢から離れ、植林地のを斜めに登っていきます。 少し登っていくと折れ曲がっていきます。 滝見道にしてはしっかりしていて、他の用途でも歩かれているのか気になります。 更に右・左と曲がりながらを登っていきます。 尾根の背に出ると、桂の滝へ向かう道との分岐になったに着きます。 駐車スペースから7分ほどの所になります。 脇には「上山高原」のが立っていて、左へ続く尾根は「桂の滝1.5km 危険個所あり」となっています。 上面にはこの付近のが取り付けられています。 傍に標識があって、を越えて左前方へ降っていく道は「シワガラの滝800m」、左へ続く尾根は「桂の滝1700m」となっています。 もう一つ標識がありますが、文字は消えていて判読できませんでした。
後日に桂の滝を訪ねました。 (「桂の滝」を参照)
へ続く道を降っていきます。 傾斜が緩やかになって正面が明るくなると、作業小屋が二つ建つに出ます。 辺りには耕作されなくなった様子の田んぼが見られますが、これまでのしっかりとした道はかつては農道だったのでしょうか。 右側にはを眺められます。 小屋の左側を過ぎていくと、再びになります。 程なくして傾斜が増してくると、トラロープが張られた石段混じりの階段を降っていきます。
トラロープはすぐに終わって、緩やかなになります。 僅かなを回り込んでいきます。 苔むした斜面を横切るように進んでいくと「小又川渓谷 シワガラの滝 500m」のが倒れかかっています。 すぐ先にも標識がありますが、文字は消えていて判読できませんでした。 標識を過ぎて、雑木林のを右・左と曲がりながら降っていきます。 下の方から聞こえてくる沢の水音に、谷底が近づいてきたことが感じられます。 何度か曲がりながら降っていくと、傾斜が更に増す所に鎖とトラロープが張られています。 駐車スペースから17分ほどの所になります。 「注意!危険な箇所数か所あり。滑ります。」の貼り紙も見かけます。 少し濡れていて滑り易くなっているので、鎖やロープに掴まりながら降っていきます。
急斜面を降っていくと、程なくして曲がっていきます。 の脇を降っていきます。 傾斜が緩やかになって鎖やロープが終わった道を右へ曲がって降っていくと、再びが張られています。 道なりに左へ曲がって、ロープが張られたを降っていきます。 右への曲がり角まで来ると、切り立った岩壁やその袂に続く小径が正面に見えます。
突出地
道なりに右・左と曲がってトラロープが終わると、を降るようになります。 トラロープが張られた斜面を横切るように降っていくと、壊れたを過ぎていきます。 右・左と曲がりながら降っていくと、小滝のようになったの前を右へ曲がっていきます。 程なくして小又川渓谷が見えてきます。 曲がりながら更に降っていくと、渓谷の突出地に降り立ちます。 駐車スペースから24分ほどで降りて来られました。 半壊した「シワガラの滝0.1km」のがあって、左を指しています。
標識に従って左へ降っていくとすぐにに出ますが、 この時は水量が多めなのに加えて履いてきた長靴が短めだったので、左側の崖沿いは通れそうにありません。 仕方がないので、浅い所や岩の上を渡って右側の岸に出ました。 少し遡上していくと、また右側の岸が歩き難くなくので、 幾つもゴロゴロするを歩いたりしながら左側の岸へ出ます。 幾つもあるの上を注意しながら歩いていきますが、シワガラの滝はまだ見えてきません。 垂らされたに掴まりながら岩の上を登り、その先にある倒木の下をくぐっていきます。 倒木を過ぎると大岩が立ちはだかりますが、その左側のを登っていきます。 崖にはトラロープが垂らされていて、コンクリート製の足掛かりも幾つか取り付けられているので、それ程苦労することもなく登っていけます。
崖を登ってその先の倒木を過ぎていくと、正面の奥まった所にが見えてきます。 左側には高く切り立ったがそそり立っています。 水量は少ないものの飛沫が流れ落ちてきて少し濡れてしまいます。 倒木が目立つようになると、少しがありました。 辺りにはが幾つか見られました。 倒木を越えながら進んでいくと、行き止まりの岩壁に開いた洞窟の前に着きます。 突出地から8分ほどの所になります。 この中にシワガラの滝があるのですが、姿はまだ見えません。
シワガラの滝
落ちてくる水滴に濡れながら、へ入っていきます。 洞窟の中にあるシワガラの滝が半分ほど見えてくると、手前にがあります。 右側は水量が多くて、履いてきた短めの長靴では歩けそうになかったので、岩を越えていくことにしました。 幸いにも鉄筋の足掛かり(手掛かり)が幾つか岩に取り付けられていてトラロープも垂らされているので、 それらを伝いながら何とかに立つと、洞窟の全容が見えてきます。 取り付けられた鉄筋に掴まりながら丸い岩の先へ降りると洞窟の入口になります。 突出地から13分ほど、駐車スペースから38分ほどで到着しました。 すぐそこに見えている洞窟のから振り返って滝を写したかったのですが、水量が多くて中へ入って行けないので、 行ける所まで行って、手を目一杯伸ばして滝口までの範囲を写すだけで我慢することにしました。
車を止めてきた駐車スペースへ向かって、を引き返していきます。 丸い岩を越えて、を進んでいきます。 狭い所から出て倒木が目立つ谷筋を進んでいくと、またが見えてきます。 倒木を過ぎて、コンクリート製の足掛かりやトラロープが垂らされた崖を降っていきます。
突出地
張られたに掴まりながら倒木の下を過ぎて岩を越えていきます。 沢を渡ってを歩いたりしながら進んでいきます。 程なくしてが近づいてきます。 沢の右側へ渡って軽く登ると、半壊した標識「シワガラの滝0.1km」がある突出地に着きます。 シワガラの滝から10分ほどの所になります。
の左に続く斜面を曲がりながら登っていきます。 階段の残骸を過ぎていくと、トラロープが張られたを登っていきます。 階段やロープが終わった先を曲がりながら更に登って岩壁の脇まで来ると、が張られています。 鎖・ロープ・木の根などに掴まりながらを登っていきます。 少し曲がりながら2分ほど登っていくと、緩やかで歩き易い道になります。
登り傾斜が増して正面が明るくなってくると、道なりに曲がっていきます。 急斜面を何度か曲がりながら登って傾斜が緩やかになると、 文字が消えた標識の先に倒れかかっている「小又川渓谷 シワガラの滝 500m」のを過ぎていきます。 苔むした斜面を横切るように進んで、僅かなを回り込んでいきます。 傾斜が増して辺りが開けてくると、石段混じりの階段を登っていきます。
階段が終わって緩やかになると、が見えてきます。 左前方にはが見えます。 作業小屋を過ぎて登り坂になるとへ入っていきます。 次第に傾斜が増してくる植林地のを横切るように登っていきます。 正面が明るくなると、桂の滝との分岐になったに着きます。 突出地から19分ほどの所になります。
を越えて左前方へ降っていくと、程なくして曲がっていきます。 少し先を左へ曲がって、を横切るように降っていきます。 しばらく降って道なりに右・左と曲がっていくとに出ます。 右下を流れるを眺めながら降っていきます。 傾斜が緩やかになると、沢に架かる木板製の小橋を渡っていきます。 から5分ほどの所になります。
海上地区
植林地の谷筋に続くを進んでいきます。 左下の谷筋にあるの水音を聞きながら進んでいきます。 シダ類などが茂るの脇を過ぎていきます。 正面が開けてくると、海上林道の傍にある駐車スペースに着きます。 から8分ほど、シワガラの滝から37分ほどで戻って来られました。
帰路の途中、海上バス停の傍にある海上公民館の前で大きな案内板を見かけました。 の地図をはじめ、 児島神社・昆虫化石・牛ヶ峰山・但馬牛・芝桜公園・小又川渓谷・海上傘踊り・祇園祭・うら盆行事などが紹介されています。 参考までにその抜粋を載せておきます。
兵庫県美方郡新温泉町海上
海上(うみがみ)一口メモ
海抜340m〜380m、50戸、人口143人(男67人女76人)
産業 水稲25ヘクタール、但馬牛8戸、但馬杜氏7人
農産物 白ねぎ、大根、イモ類、山椒、人参、大納言小豆、ピーマン、等が美味い。
指定文化財 蔵王権現像、海上傘踊り、小又川渓谷
史跡 昆虫化石、神代杉、たたらば跡、蛇抜け、浮田井手隧道、雪崩犠牲者供養塔
名勝 シワガラの滝、桂の滝、五滝、魚止めの滝、茂平谷滝、尾の谷滝、布滝、芝桜公園
海上地区
…伝説では、西暦593年ごろ越坂の高い山が海上側に崩れ落ちて土手が出来て大きな池となり池内村と呼んでいた。 724年二度目の崩れ落ちがあって、池内村の池が湖となり湖上村と呼んでいた。 866年三度目の崩れ落ちの時に湖上村の水が大海へ流れて海上・うみがみと呼ぶようになった、とか…。 しかし、昆虫化石は500万年昔(中新生後期の火山活動による溶岩流などで堰止められ溜まった自然湖・古照来湖に起因)と記されている。
芝桜公園
上山高原の裾野、標高500mに海亀の背中を思わせるような形をして、 四方を氷ノ山・那岐山・後山国定公園の山並み景観素晴らしいパノラマに包まれ、 訪れた誰もが深呼吸して気分晴れ晴れと癒される畑がある。 約1ヘクタール。ここが平成の花園「芝桜公園」。 平成5年5月5日、第1回・温泉町花と緑のフェスティバルを開催した時は、縦80m横40mの花のジュータンが見事であった。 その後、草の管理に手こずり一山迎えたが『夢ふる里会』が立ち上がり、 堆肥施用管理し易い畑に造成し「いっぷく亭」の丸太小屋を山頂に設置して癒しの場つくりが進行している。 近くに「尾の谷の滝」「布滝」があり、健脚なら「シワガラの滝」「桂の滝」「五滝」「茂平谷の滝」「シシ滝」など滝めぐりの拠点でもある。