行者岳
概 要 行者岳は朝来市にある標高784.5mの山です。 山頂やその少し北にある展望岩からは、山並みや多々良木ダム湖などを見渡せる眺めが広がります。 今回は鷲原寺の岩屋観音の傍にある登山口から登るルートを往復します。
起 点 朝来市 岩津地区
終 点 朝来市 岩津地区
岩津地区…登山口…崩落地…稜線…小ピーク…行者岳…展望岩…行者岳…小ピーク…降り口…崩落地…登山口…岩屋観音…岩津地区
所要時間 2時間50分
歩いて... 登山口から山頂までの道には赤テープが点々と取り付けられ、要所には標識もあって、迷うことなく山頂に立てました。 断続的に石段が設置された谷筋の道は少し荒れ気味でしたが、僅かな起伏がある稜線には快適な尾根が続いていました。 展望岩までの尾根には、傾斜の急な所がありました。
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コース紹介
岩津地区
朝来市和田山町から国道312号を南下していきます。 上岩津下バス停を過ぎて、観音川を渡った数10m先から東へ分かれる道に入っていきます。 入口には「岩屋山鷲原寺 観音参道口」「重要文化財 鷲原寺石佛群」と刻まれたが立っています。 を過ぎて植林地へ入っていくとがあります。 柵を通過した数10m先にがあります。 正面の道は岩屋観音の参道の山門へ続いていますが、角にある「岩屋観音 車道」の標識に従って、 左へ分かれていく「森林管理道 岩屋観音線」を進んでいきます。 正面に大きなが見えてくると、岩屋観音駐車場に着きます。 山門から沢沿いに続く参道を登るのが本来のルートのようですが、今回は少し楽をした形です。
お願い
公園内の植栽をシカの被害から守るため、お帰りには必ずゲートを閉めて下さい。
 (上岩津 区長)
森林管理道 岩屋観音線 起点
延長 L=1,450m 幅員 W=5.0m
 (朝来市)
森林管理道 岩屋観音線 終点
延長 L=1,450m 幅員 W=5.0m
 (朝来市)
登山口
駐車場の奥にある幅の広いを登っていくと舗装路に出ます。 少し先には寺務所兼休憩所のようながあります。 建物の先の110数段のの上に岩屋観音がありますが、 下山してから訪ねることにして、の右側から続くかなり傾斜のある舗装路を登っていきます。 小祠を過ぎて坂道を登っていくと、左へ曲がる角に短いがあります。 階段の上には「行者岳 遊歩道」の標識が立っていて、傍の樹木には赤テープが取り付けられています。 ここから行者岳へ登っていきます。
短い横木の階段を登って、その先の石がゴロゴロする所を登っていきます。 「遊歩道」とは言っても公園にあるような快適な道ではなく、単なる山道でした。 谷筋の左斜面に断続的にが設置された道になっていますが、 階段には土砂や落葉が積もっていて歩き難い所もありました。 整備された頃には歩きやすい「遊歩道」だった雰囲気もありますが、今では荒れ気味になっています。 大きなが道を塞いでいる所もありましたが、抱えるようにして越えていきました。 沢沿いに出て石がゴロゴロする所を進んでいくと、岩の脇に「行者岳」のがありました。 谷筋に続く道には特に分岐らしい所はありませんでしたが、 赤テープも山頂まで点々と取り付けられ、迷うことなく登って行けました。
に続く石段を過ぎて谷筋を更に登っていくと、 道にが剥き出していました。 岩が階段状に削られて歩けるようになっているようですが、先日の雨で滑りやすくなっていて登る自信がなかったので、 細い木の幹や根などに掴まりながら山側を通過していきました。 そのすぐ先で大きな岩が現れます。 岩の手前には「行者岳」のがあって、左を指していました。 道はここで左へ曲がって、沢から少し離れていきます。
崩落地
石が散乱するを登っていきます。 のある所まで来て、右・左と何度か曲がりながら登っていきます。 正面にを眺めながら登っていくと沢筋に出ます。 登山口から22分ほどの所になります。 道は露出した岩の下を横切って向かい側へ続いているようなのですが、先の方が崩落していて歩いていけません。 赤テープはそこを迂回するようにに続いていました。 斜めになって滑りやすい岩の上を木などに掴まりながら慎重に通過して、その先に続く踏み跡を登っていきました。
少し降るようになるとに降り立ちました。 右側を見ると、すぐ先がしていました。 左へ続く広くなった道を登っていきます。 植林地になってきた石段混じりの道を登っていくと、を過ぎていきます。 の下をくぐって進んでいくと小さな沢があります。 少し降って沢を渡り、その先の石段を登っていきます。
傾斜が増してきた植林地を登っていくとが立っていました。 登山口から38分ほどの所になります。 少し欠けている所もありましたが、 この先の道は「行者岳山頂まで1.1km 40分・行者岳籠堂まで1.7km 1時間・行者岳登山口3.7km 2時間15分」、 今来た道は「岩屋観音まで800m 30分・観音橋バス停まで4km 1時間15分」となっています。 「行者岳まで1000m」の板も取り付けられていました。 この中の「行者岳登山口」とは、多々良木ダム湖側にある登山口のようでした。
標識では「行者岳の山頂まで40分」となっていますが、歩みの遅い私でも27分ほどで登れました。 また「観音橋バス停まで4km」となっていますが、手元の地図にはその名前のバス停は載っていません。 石柱の立っていた国道312号からの入口付近にある上岩津上バス停が距離的には該当しそうですが、改名されたのでしょうか。
稜線
標識を過ぎて少し登っていくと、曲がってきます。 踏み跡は正面へと続いていて危うく通過しそうになりましたが、曲がり角には赤テープが幾つか取り付けられてルートを示していました。 ここからは明瞭な道を見かけなくなりますが、赤テープが導いてくれます。 今来た道を指す「岩屋観音」のを過ぎて、次第にはっきりしてくる尾根の背を登っていきます。 少し傾斜が緩んだ尾根を登っていくと、正面にが近づいてきます。 少し右へ曲がって登っていくと稜線に出ました。 登山口から44分ほどで登って来られました。 登り着いた所には「行者岳」のがあって、左の尾根を指しています。 「行者岳・ブン回し」のもあって、左右の尾根を指しています。 右側には僅かな高みがありますが、標識に従って左の尾根を進んでいきます。
左へ曲がった所にあるの右上を過ぎて降っていきます。 赤い「火の用心」のが谷側を向いて設定されているので、 ヌタ場を通ってくるのが本来の道のようでした。 程なくして、目指すが右前方の樹間から見えてきます。 植林地と雑木林を分ける稜線には、多少起伏はあるものの、緩やかで歩きやすい尾根が続いていました。
僅かなを過ぎていくと、 右下の樹間からが見えてきました。 引き続き、植林地と雑木林を分けるを進んでいきます。 少し登り坂になってくると、登ってきた尾根を指す標識が立つ尾根の肩に着きました。 文字が消えかかっていて誤読しているかも知れませんが、 「岩屋観音まで1.3km 45分・観音橋バス停まで4.5km 1時間30分」と書かれているようでした。
小ピーク
少し右へ曲がって、緩やかになったを進んでいくと、程なくして登り坂になってきます。 坂を登っていくと、松の木が生える高みに着きました。 稜線に出た所から10分ほどの所になります。 少し先には「地籍図根三角点」と書かれたL型のが立っていて、 脇には「国土調査」と刻まれた標識がありました。 地形図によると、行者岳の南南西450m辺りにある標高780mほどの高みになるようです。
左右とも雑木林になってきたを緩やかに降っていきます。 軽い登り坂になった尾根を進んでいきます。 大きなを過ぎていくと僅かなに着きます。 目指す行者岳を正面に眺めながら、尾根を緩やかに降っていきます。
行者岳 (標高784.5m)
緩やかな尾根を快適に進んでいくと、程なくしてになってきます。 次第に傾斜が増してくる尾根を登っていくと、が見えてきます。 今来た尾根を指す「岩屋観音」のを過ぎていくと行者岳の山頂に着きました。 稜線に出た所から21分ほど、登山口からで1時間6分ほどで登って来られました。 脇には「行者岳」のがありました。 正面すぐの所に「行者岳」があるので、地形図に載っている784.5m峰になるようです。 傍には「786m行者岳」の標識が立っていて、「おつかれさん ようこそ行者岳へ」と書かれた板も落ちていました。
四等三角点 No.114005
この測量標はすべての測量の基準です。 三角点を大切にしましょう。
 (国土地理院)
三角点
基本測量
大切にしましょう三角点
国土地理院
三角点の傍は樹木が伐採されていますが、周囲には雑木が茂っていて展望はあまり良くありません。 この時は葉を落とす季節だったので、樹間から僅かに山並みが見えましたが、青葉が茂る季節になると見えなくなりそうでした。
山頂の10mほど右に、大きな電波反射板があります。 そのへ出てみると、山並みを見渡せる眺めが広がっていました。
眼下にはがよく見えました。 北東にあるには電波反射板が見えますが、 ここの反射板と併せて電波を導いているようでした。 その右奥に聳えているのは粟鹿山のようです。
あぶない!! このなかに はいらないで ください
敷地内に入り鉄塔にのぼると墜落の恐れがあるため危険。
山頂の少し北側に展望岩があるようなので、訪ねていくことにしました。 三角点の先にある赤テープが巻かれた樹木の脇から続くを降っていきます。 これまでの尾根に比べて傾斜が急になっていて、木の根などに掴まりながら降っていきました。 坂を降り切って、を進んでいきます。 少し登り坂になってくると、岩が剥き出した僅かな高みに着きます。
高みを過ぎて降っていくと大きなが道を塞いでいましたが、抱えるようにして越えていきました。 登り坂になった尾根を進んでいくとが見えてきました。 傍までいくと「行者岳」のが落ちていて、今来た尾根を指していました。 から右へ分かれて岩の下へ降っていく道がありました。 その入口の樹木に標識が取り付けられていましたが、文字はほとんど消えて読めませんでした。 その道を見送って正面の岩へ向かって登っていくと大きな岩の脇に着きました。 岩の間のに巻かれたテープには「展望岩」と書かれていました。
展望岩
テープが巻かれたへ入っていくと、丸くて大きな岩がありました。 これが展望岩のようです。 行者岳から7分ほどで着きました。 岩の表面は濡れて滑りやすくなっていました。 誤って谷底へ滑落すると大変なので、脇に生える細い樹木に掴まりながら慎重に登っていきました。 に出ると狭いながらも平らになっていて、 それほど恐怖に駆られることもなく立ち上がることが出来ました。 先ほどの電波反射板の脇からとは違う方角が眺められるのかと思って期待していたのですが、ほぼ似たような眺めでした。
電波反射板のある青倉山や、その奥にある電波塔の林立するも良く見えました。 樹木に邪魔されながらも、手前の方には行者岳にあるが僅かに見えました。
行者岳
展望を確認したら、尾根を引き返してきます。 少し降ってから、岩が剥き出した僅かなへ向かって登っていきます。 高みを過ぎて緩やかな尾根を進んでいくとになります。 降る時は苦労した所ですが、それほど苦労せずに登っていけました。 急坂を登り切ると行者岳に着きました。 展望岩から6分ほど、往復17分ほどで戻って来られました。 ここからは、すぐの所にある「岩屋観音」の標識に従って、元来た尾根を引き返していきます。
小ピーク
傾斜のある坂を降り、緩やかになった雑木林のを進んでいきます。 僅かなを越え、その先にある大きなを過ぎていきます。 登り坂になってきた尾根を進んでいくと、「地籍図根三角点」の標柱がある小ピークに着きます。
小ピークの先へ続くを緩やかに降っていきます。 正面に植林地が現れると、標識が立つ尾根の肩に着きます。 にも歩けそうな尾根が続いていますが、 元来たを降っていきます。
降り口
植林地と雑木林を分けるを降っていきます。 緩やかになった先を軽く登っていくと、僅かなを過ぎていきます。 少し降ってから高みへ向かって軽く登っていくと、右側を向いた赤い「火の用心」のが立っています。 その先を右へ曲がってヌタ場の上を過ぎていくと、谷筋から稜線に登り着いた所に戻ってきました。 行者岳から16分ほどで着きました。 登り時に見かけた「行者岳・ブン回し」などの標識を確認して、 ここから右へ続く植林地のを降っていきます。
丸い尾根の背になっていて何処を降れば良いのかよく分からず、登ってきた時以上に赤テープに助けられました。 少し左へ曲がりながら尾根を降っていきます。 「岩屋観音」のを過ぎていくと、右下の方に白い標識が見えてきます。 そこへ向かって右へ曲がり、現れた踏み跡を降っていくと、登ってきた時に見かけたに着きました。
崩落地
断続的に石段が続くようになった明瞭な道を降っていきます。 を渡って少し登り、その先へ降っていきます。 の下をくぐり、少し先にあるを過ぎていきます。 の手前まで来て、右にある踏み跡を登っていきます。 道なりに降っていくと沢筋に出ます。 稜線にあった降り口から16分ほどの所になります。 登ってきた時と同様に、斜めになって滑りやすい岩の上を木などに掴まりながら慎重に通過していきました。
雑木林になってきた斜面を右・左と何度か曲がりながら降っていきます。 は終盤を向かえていましたが、まだ色づいている樹木も少しありました。 高い段差のある所まで来て左へ曲がり、石が散乱するを降っていきます。 の傍まで降っていくと大きな岩に着きます。 岩の前にある「行者岳」のを確認して右へ曲がり、谷筋に続く道を更に降っていきます。 すぐの所にが剥き出していますが、 登ってきた時と同様に、細い木の幹や根などに掴まりながら山側を通過していきました。
登山口
石段混じりの道を更に降っていくと、石がゴロゴロするに出ます。 僅かに残っているした樹木を眺めながら進んでいきます。 少し沢から離れていくと、右上にが見えてきます。 その手前を左へ曲がり、を降っていくと舗装路が見えてきます。 「行者岳 遊歩道」の標識を過ぎて短い横木の階段を降ると、舗装路の曲がり角に出ます。 稜線にあった降り口から38分ほど、行者岳から55分ほどで降りて来られました。
岩屋観音
車を止めてきた駐車場へは左へ降っていけば良いのですが、 右に見えているを訪ねていきます。 建物の下まで来て、右へ戻るように続く石段を登っていきます。 左へ曲がって登っていくと、右側にがあります。 降ってくる時に見えていた祠になります。 正面には「金毘羅大権現」「毘遮門天王」「妙見大菩薩」の扁額が掲げられていました。 左側には岩壁に寄り添うようにして岩屋観音が建っています。 板敷きの渡り廊下のような所からへ入っていくと、 右側の前後に階段があって、二階へ上がれるようになっていました。 中ほどには「岩屋山 観音堂」の扁額が掲げられていました。 片方の階段から登ってを半周し、反対側の階段から降りられるようになっていました。 観音像は二階から見られるようですが、この時は扉が閉じられていて開きませんでした。
岩屋観音を出て、正面にある110数段のを降っていきます。 真っ直ぐに続く石段を降り切ると、左側には鐘楼があり、 右側にはがあります。 薬師堂の先には寺務所兼休憩所のような建物があり、 窓辺には「岩屋山鷲原寺奥の院岩屋観音」と題して、 「」とが展示されていました。
県指定文化財 鷲原寺石仏群(鎌倉時代)
昭和41年3月22日指定
「岩屋観音」と称せられ、洞窟内には十五体の石仏と磨崖仏一体が安置されている。 天井の磨崖仏は智拳印の金剛界大日如来で、その下に千手観世音菩薩を中央にして聖観音・如意輪・準提・十一面・馬頭の六観音と 文殊・普賢・地蔵・虚空蔵・弥勒の五菩薩と、釈迦・阿弥陀如来・不動明王・法道仙人像が祀られている。 洞内は天井からの雫で常に濡れ一種荘厳な雰囲気が漂っている。 法道仙人は約1300年前の人で鷲原寺の開基と伝えられる。 南但馬・播州に同仙人開基といわれる寺が多い。 不動明王二童子像には「釈迦入滅至仁二二年丙申二千二百二十五年也・大工心阿沙弥」と刻銘がある。 これは、永仁4年(1296)に石工心阿という奈良西大寺系の工人がこの地に来て、 地場産の加都石(花崗岩)をもって彫刻したということである。 仏滅紀年銘(金石文)があり石仏とともに鎌倉時代の貴重な石造彫刻である。
町指定文化財 岩屋観音石灯籠
昭和53年11月7日指定
石段の登り口両脇にある石灯籠は、但馬では最も古い石灯籠のひとつである。 竿石には「寛文十年(1670)三月十日建之三坂藤右衛門」と刻してある。
 (平成元年12月 朝来町教育委員会)
岩津地区
建物の前のを流れる沢を眺めてから舗装路を降り、 途中から分かれていく幅の広い横木の階段を降っていくと、車を止めておいたに着きます。
沢沿いに登ってくる駐車場から見下ろせますが、少し荒れている様子でした。